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Oman
Report No.1


中東のオマーン国に到着。首都マスカットの空港にて


Story of 9-10 November 2019

あまり、アラビアっぽくない

国際会議に参加するためにアラビア半島へ行かせていただくことになりました。


「アラビア」 というと、一般的には、いわゆるアラビアン・ナイトのような異国情緒たっぷりのロマンチックな風景を連想する気がする。

しかし、実際にはなかなかそういうわけにはいかない。豊かな石油資源のせいか、アラビア半島の主要都市は裕福で近代的なところが多いのだ。さらに言えば、ガソリンの価格が圧倒的に安い。そしてそのせいで、クルマ中心の都市構造になっていることが多いのだ。

もちろん、アラビアン・ナイト的な異国情緒たっぷりのロマンチックな風景がなくなってしまったわけではなくて、あるところにはあるのだろう。おそらくは。しかし、そのようなロマンチックな風景が (あるところにはあるにしても) そのへんに、すぐ当たり前のように転がっているわけではないということだ。

そして今回、国際会議の会議場はさようなロマンチックな風景が期待できる場所ではない。また、ロマンチックな場所に行くような機会も時間もなさそうなのであった。

さて、というわけで …

今回の行き先はアラビア半島の国、オマーンである。

オマーンといえば、若干気になるのは 2019 年 6 月にホルムズ海峡のオマーン湾という海域で、タンカーが武装勢力に襲撃されるという事件があったことだ。また、オマーンは鉄道が発達していないので、移動はバスかタクシーになる。しかし、バスはどんなシステムか全くわからない状況であり、現地語の表示も読めない。タクシーにはメーターがない。では、タクシーの料金はどうするのか ? というと、乗る前に、ドライバーと個別に討議して決めなければならないのだ。

そのあたりも欧米とは違うな … というか、やはり難易度が少し高めな国ではある。

まあそういうわけで、成田空港からエミレーツ航空の飛行機に乗り込み、ドバイ経由でオマーンの首都、マスカットという街へとやってきたのである。

空港からはタクシーでホテルに向い、チェックインして窓から外を見ると、下の写真のような風景である …

ホテル周辺は見るべきものはない … としかいいようがない風景であった。


マスカットのホテルの窓から見える風景

とはいえ、まだ陽は明るい。ホテルの部屋にこもってばかりいても仕方ないので、とりあえずカメラバッグをもってホテルの周辺を歩いてみることにする。

しかし、オマーンでは散歩がなかなかむつかしい。

圧倒的なクルマ社会である。片側四車線か五車線くらいの道路の上をクルマがびゅんびゅん走っている。そして、歩道に立って右を見ても左を見ても、見える範囲には横断歩道も、歩道橋もないのである。例えば、街の風景は、下の写真のような感じだ。これは自動車専用道路ではない。ホテル周辺のふつうの道路の様子である。


マスカット市内。ホテルのすぐそばの道路の様子

ホテルからしばらく歩くと、このような片側四車線か五車線くらいの道路が行く手を遮るという問題に直面する。

ちょっと離れたところにモスクの尖塔らしきものが見えたので、それを目指して歩いて行こうとしていたのだ。しかし手前に自動車専用道のような道があり、横断する手段がないのである。結局断念して、ホテルに戻ることになった。

というわけで、ホテル周辺の散歩は不調に終わるのであった。


Story of 11 November 2019

スモー・スシ・ベントーのはなし

さて、この日から国際会議が始まるが、会議の内容は省略。

会議後に、オマーン、台湾、タイ、シンガポールの方と日本人で食事に行くのにお誘いいただいた。タイの方がホスト役のようである。その方が中心になってレストランを選択した結果、その日の晩餐の場は日本食のレストランということになった。

これは、特に日本人参加者に忖度したわけではない。どちらかというと日本人は、せっかくオマーンまで来たのだから日本食以外のものを食べたいという感じである。しかし、参加予定者全員の希望を聞いて、参加者の好みの最大公約数的な料理を考察をした結果、無難な日本食になったということのようだ。

というわけで、オマーンという異国の地についた早々ではあるが、日本食レストランに向かうことになった。

そして着いたのは 「SUMOSUHIBENTO (スモー・スシ・ベントー)」 という名称のレストランだ。国際的にフランチャイズ展開しているお店のようで 「フランチャイズ募集中」 などと書いてある。

これは、なかなか味わいの深い店名だと思う。


スモースシベントーという日本食レストランにて

ご参加の外国人の皆様から 「おお、日本のレストランが、こんなところまで進出してフランチャイズを出しているのですか ? すごいですね!」 という声が出る。

いやそれは違うでしょう、レストラン名が日本っぽくないから、と答える。すると、なぜ違うのですか ? スモーも、スシも、ベントーも日本語ではないのですか ? というご質問である。

そこで、少し考える。

まず 「寿司」 という言葉が寿司屋や料理屋の名称に入っているのは全然おかしくないだろう。というより、ごくふつうのことだ。「〇〇弁当」 とか 「弁当〇〇」 といういうような店名も、まあ高級料亭の名前には使われないだろうが、定食屋なら決定的におかしいわけではない。特に、お持ち帰りもあるお店ならそうだろう。

すると、料理屋の名前として違和感があるとすれば、それはやはり 「スモー」 という部分になる。

そこで、スモーという言葉は日本式レスリング競技の名称で、レストランの名前にはあまり使わないのではないか ? と説明する。しかし、あまり納得していただけない。

でも、相撲は、スポーツでもあるけれど立派な日本古来の伝統文化でしょう ? 日本食のレストランの名前に入っていてもおかしくないのでは ? というご意見である。

そう言われればそれもそうだ。例えば両国あたりに 「相撲寿司」 という寿司屋があってもおかしくない (実際にあるかもしれない) …

と、納得しそうになるが … しかし ! それでも

スモースシベントーというレストラン名はおかしい !

と思うのだ。

なぜだろう ?

おそらく日本人の皆様には、スモースシベントーという日本食レストランの店名は、どこかセンスがおかしい、あるいは、少なくとも日本人が考えた名前っぽくはない、ということにほぼ同意していただけるだろう。

しかし、外国人には (ある程度日本通で、相撲、スシ、弁当という言葉の意味を知っていても) 日本食レストラン名としてまったく違和感がないそうだ。

その感じ方の違いを議論するのだが、そのセンスの違いを、言葉で (しかも英語で) 説明しようとしてもなかなかに難しいのである。

ちなみに、料理は本格的に日本の料理を再現した和食と、かなりインターナショナルなテイストにアレンジされたジャパニーズフード (例えば、アボガドやパインアップルの上に魚料理が乗っているようなもの) とに、メニューが二極化されている感じであった。

おそらく、日本人から習った通りに作っているものと、自分たちで工夫したものと両方あるのだろう。

ちなみに料理人はすべて地元の人である。お値段は、まあまあリーズナブル。


Story of 12-14 November 2017

仕事のはなし、ではない

さて会議はまだまだ続く。


今回の国際会議の会議場のようす

この会議の会議場はホテル内にある。そして連日、朝から晩まで会議である。またホテルの周りを散歩しても、あまり得るところはないことは既に判明済である。また今回の会議期間中に、観光のチャンスなどは予定されていない。

というわけで、カメラを持ち出す機会も時間もないまま、オマーンの滞在の日々が過ぎていくのであった。

しかし !

会議主催者が、さすがにそれではやはり参加者が不憫だと思ったのであろう。当初の予定にはなかったのだが、急遽、マイクロバスをチャーターして 30 分ほどドライブしてバザールに連れて行ってくれることになった。オミヤゲでも買ってくださいということのようである。

会議終了後、全員でバスに乗ってバザールへ。

とはいえ滞在時間は、ジャスト一時間である。皆さん、オミヤゲなどを買う貴重な機会ということで、ショッピングに向かうようである。しかし、ここはアラビアらしきロマンな雰囲気のただようバザールだ。カイモノなどしている場合ではない ! と思わざるを得ない(本末転倒)。

何をするかというと、もちろんカメラをもって歩き回って、バザールとその周辺で一枚でも多くシャッターを切るのである。

ようやく観光らしきものができた。とても満足な一時間であった …


というわけで、そろそろこのお話もおしまいです。

オマーンのホテルに幽閉された数日と、集中的に写真を撮影した一時間、という組み合わせの旅が終わるのです。

では最後に、オマーンのバザールと、その周辺で撮影した写真をどうぞ。なお最後の写真は初日に撮影したもの。結局たどり着けなかったモスクの尖塔を、中東らしい岩山をバックにして遠望した風景である。やはり行くとこに行けば、欧米にはない異国情緒があるのは確かではありました。



使用撮影機材 : Leica M10-D