さて滞在四日目は、全員参加の公式ディナーの日でもあった。
場所は、シアトル航空博物館内のレストラン。これはやはり、シアトルに来たら是非行きたいところである。
まず館内を見学すると、昔の飛行機の実機がいろいろと取り揃えられている。そして、第二次大戦関連の展示エリアにはゼロ戦らしき飛行機がある。
「お ! ゼロ戦 ! 」 と思って近くに見に行ったら …
見間違いだった。
「ハヤブサ」 である。
そして、その前にある英文の説明板を見ると 「ゼロ・ファイター (ゼロ戦) とまちがえる人がよくいるが、違う飛行機だよ」 などと書いてある。
しかし。
本来、この二機を間違えてはいけないのだ。というのは、ゼロ戦とハヤブサは (一見似ているようにも見えるが) 当時の二つの超一流国産航空機メーカーが、その技術力と威信をかけ心血注いで限界に挑戦してそれぞれ開発したモノなのである。
ゼロ戦は三菱。ハヤブサは中島製作所。
ちなみにゼロ戦とは 「零式戦闘機」 の略称である。そういう言い方をすると、ハヤブサは 「一式戦闘機」 である。
この 「零」 と 「一」 の二機はトヨタ vs 日産のような … いや違う。例えていえば、レアル vs バルサのような最高峰のライバル関係ともいえる。
なので、戦後何十年もたったとはいえ、ハヤブサを見た人に 「おおゼロ戦だ ! なんだ違うのか」 という間違われかたをされるというのは、中島の当時の精鋭技術陣からすれば、さぞや不本意なことではないかと思われるのである。
人のことはいえないけれど。
そしてさらに 「ゼロ戦とまちがえる人がよくいるが、違う飛行機だよ」 という、この博物館の表示も 「いかがなものか」 という感がある。
中島の当時の技術陣の心情をおもんばかれば。