というわけで、その翌日、17 日。この旅日記台湾編も一挙に帰る日となる。
というか、二泊三日なので、着いた日と、中日と、その次の日本に帰る日しかないである。
台北の天候はまさに台風一過の日本晴れ (いや台湾晴れ)。むしろ、日本方面に向かっているはずの台風の進路が心配だったのだが、少なくとも、まだ日本の関東地方からはかなり遠いようだ。インターネットで成田空港の降水確率をみると 20% ということ。フライトは問題なさそうである。
さて日本に帰る日の朝 …
主催者の方からは、何時にホテルにクルマが迎えに行きます、という主旨の連絡が入っていた。そこでその時間にホテルのロビーに降りて行き、迎えに来ているはずの人とクルマを探すのである。
しかし。
それらしい人もクルマもいない。もうとっくに時間が過ぎているのに。
また何かトラブルだろうか …
しばらく、ホテルのロビーで待って見るが、どうももそれらしい人は来ない。それらしきクルマも来ない。さすがに 10 分遅れるのは異常事態のように思う。それ以前に、もう空港に向かわなければならない時間だ。もし人が来ないなら、タクシーなりなんなり手配しなければならない。台湾で使える携帯電話は持っていないので、仕方なくフロントのベルボーイに 「クルマで迎えが来るはずなんですが、そういう人がいますか ? あるいは何か連絡が入っていませんか ? 」 聞いてみる。
するとフロントの係員さんが首をのばして、外の玄関先を眺めて言うことには …
「ホテルの前に運転手らしき人がいますねえ。あのクルマじゃないですか ? 」
ということである。で、あらためてホテル玄関の前を見る。
すると …
あら不思議。確かにホテルの玄関に、クルマが止まっていてる。しかも、今来たわけでなく先ほどからずっと止まっていたようである。
そして、自分は、迎えに来ているはずのクルマを探して、先ほどからそのあたりを行ったり来たりしたのである。にもかかわらず、なぜそれが目に入らなかったか ?
その理由を考察してみる。
その理由とは、つまりそのクルマが黒塗りの堂々たるベンツだったから、ということになる。ちなみに、ここは超高級ホテルの玄関先である。その玄関先に、黒塗りのベンツ、である。そして運転手は制服姿である。その構図だと、VIP 専用 = 当然自分に無関係、という貧乏人思考回路にはまってしまうのだ。そして、そのようなクルマがホテル前にあっても全く自分の視野に入らず、そのクルマの横を素通りしつつ、クルマが迎えに来ない来ないと言い出す、という事態が発生するのである。
で、その黒色ベンツ運転手にあらためて 「xx というものですが、ひょっとして私を待っていましたか ? 」 と聞いてみる。
「お待ちしておりました」 とのこと。(ずいぶん待っていたようである)