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TURKEY
Report No.3


イスタンブールの風景


Story of 16 April 1999

トルコ滞在最終日

4 月 16 日には最後の全体会議があった。そこで必要ないろいろなことが決まって、今回の会議は無事お開きになった。

さて幸いなことにまだ店は開いている時間である。最後に街に出て、何かトルコのおみやげを買おうと思うのであった。

まあさほど高くないものでいかにもトルコらしいものは何か ? といろいろ考える。

トルコではどこに行ってもチャイ (トルコ紅茶) を飲む。このチャイのグラスが実に味わいのある形をしているので、それがトルコらしくてなかなか良いな、と思う。それにチャイを飲むためにトルコ人が日常生活の中で使うためのものだから、無茶苦茶に高いものではなかろうと見当をつけ、チャイ・グラスをを買うために、ひとりで市内のマーケットへと出かけていった。


イズミール街角の風景。マーケットにて

というわけでマーケットでいろいろな店を見て回るのであった。

トルコでは一般的に商店では商品に値札というものをつけない。即ち、店員と客の丁々発止の交渉で値段が決まるシステムなのだが、たまたまある店ではチャイ用のグラスにあらかじめ値段を表示していたので、その店に入っていろいろ物色することにする。

チャイ・グラス1個の価格は 「20 万リラ」 である。


20 万リラ (200 BIN) の値札 ! よく考えると 66 円

20 万 ! というと途方もないが、日本円に直すとたったの 66 円であった。

うーむチャイのグラスがこんな安いモノとは思わなかった。更に少し値切ったら 60 円になった。さすがにこの金額だと、支払うのに何のココロの葛藤もわいてこない。何だかあっけないい気分で店を出るのであった。

しかし、ここに、ドルとトルコリラとあわせれば 1 万円くらいの現金は持っているのである。それを全部出して、それでチャイのグラスを買い占めたらどうなるであろうか ? と考えざるを得ない。更に値切れば、単価 50 円くらいにはなりそうだ。すると 200 個は買えてしまう。それだけあれば近所の人や友人親せき一同に、心おきなく配りまくることができる。いやいや、それでもなくなりそうにない。どうやって持ち帰るかが問題なのだが …

そして夕食をとるため、そのへんの地元の人向けらしいトルコ料理屋へ。店先のテーブルでトルコ人のおじさん連中がビールを飲みながら大声で話しているが、店の中より外のテーブルの方が気持ちよさそうな夕方だったので、その中に割って入って座ることにした。すぐに店の人が出てきて、何を食べるか聞くので、トマトの入ったサラダ、ミネラルウォーター、メインの料理を次々にトルコ語英語ごちゃまぜで頼んだ。

そのとき …

自分がずいぶんトルコ生活に慣れてしまっていて、トルコ人のおじさんたちの中で一人で座っていることにも、メニューもない地元の人向けのトルコ料理屋にいることにも、もう全然違和感を感じてないのに気づいたのであった。

ふと 「最初の夜はひとりで外に出て歩くのがこわかったんだよな」 と思いだす。あれは、確か一週間前のことだった。わずかの期間で、何で自分がこんなにこの国の雰囲気になじんでしまったのかあらためて考えるが、答えが見つからない。が、その瞬間、どうもそういう魅力がある国だということだけは、はっきりとわかった。トルコは。

と言いつつ、その翌日には成田へと飛ぶ飛行機に乗り込まなければならないことも、ふとトルコ料理屋の店先に座りつつ思い出したりするのであった。


使用撮影機材 : Olympus C-1400L