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Reports
旅日記


11th day, the end of Europe

ヨーロッパ大陸さいはての地

さてヨーロッパ一周の旅もいよいよ佳境となる。というのは、この日が、いよいよヨーロッパ大陸さいはての地をめざす日なのである。

なおこの Report No.3 が最終回で、移動経路は、ポルトガルからスペインなどを経由してドイツに帰るまで。地図ではこのようになります。

さてこの日、ポルトガルの南東部、スペインとの国境の近くの街、ファーロにあるホテルを出発して西にむかって走り、ザグレスということろの岬にむかうのである。

途中、道が非常に悪くて閉口する …

しかし、朝 11 時頃、ついにヨーロッパ大陸の先っぽの岬へと到着したのである。海岸沿いにクルマを停めて壮大な風景を見渡す。

はるばるとここを目指してやってきたのだ。

ううむ、見るからにいかにも 「地の果て」 という感じである。


これが欧州大陸さいはての地

よく来たもんだ … としばし感傷にひたる。ちなみにここが、この旅の最遠到達地点でもある。

さてしばし感傷にひたった後、再びクルマのキーをひねり、ザグレスを出発する。ポルトガルの西側の海岸線を北上し、今度はヨーロッパ大陸の最西端、もうひとつのさいはての地である 「ロカ岬」 へと向かう。

このあたり、いわゆる本家元祖争いみたいに 「欧州大陸さいはての地」 が二ヶ所あり、ややまぎらわしいのは否めない。要するに、ヨーロッパ大陸の地図上、南西方向に 「いかにもここが先っぽ」 というところがザグレスなのだが、東西の経度で見た場合の最西端地点はやや北方のロカ岬というところ、というのがこの両者の関係なのである。


これがロカ岬、欧州大陸最西端の地である

ともあれ、この日はその双方を征服した。まあ要するに、どちらがより重要なのかよくわからず、念のためその双方を征服しておくことにしたのである。

今回、この双方を一日で征服したわけだが、その功績により、もし 「ヨーロッパ大陸・地の果てコンテスト」 の審査員にいつの日か選ればれるのであるとすれば、実際に双方の現物を見た印象で、いかにも 「先っぽ」 という雰囲気のザグレスに軍配をあげたい。

ちなみに、一応書いておくと、一般的にはロカ岬の方が観光地としての名が通っている。まあ首都リスボンから日帰り圏内という地の利的要素も、おそらくは関係しているのだろう。この日はそれから、ポルトガルの首都、リスボンに向かい、そこでホテルをとることにする。

しかし、昔は本当にここが地の果てだったのだ。ヨーロッパのみなさんは、この海の向こうにアメリカ大陸などというものがあることを知らなかったのだから。


12th day & 13th day, from Lisboa to Ciudad-Rodorigo

ポルトガルから再びスペインへ

リスボンで朝をむかえる。そして、しばしリスボン市内を歩き回る。落ち着いた、印象的な渋い街であった、リスボンは。


リスボンの街角で見た気になる風景

その翌日は、リスボンを出発して、しばらく海岸線を北に向った後、コインブラというところで海岸沿いの高速道路からおりて、こんどは東の山岳地帯へと向かう。

さて …

この旅のコンセプトは欧州大陸をぐるっと一周することであり、なるべくならば海岸線近くを走りたいのである。しかるに、なぜここで山岳地帯へと向かうのか ? それはつまり、マドリッドへと向かうためなのだ。スペインの首都、マドリッドは地理的には内陸部、イベリア半島のちょうど中心地点にある。そして、そのマドリッドにはプラド美術館がある。今回の旅の訪問地としてどうしても外したくないポイントなのであった。

夕方頃、ポルトガルとスペインの国境へと到着。国境から 30km ほどスペインに入ったシウダッド・ロドリゴという町で宿を取ることにする。

スペインではパラドールという国営の古城ホテルが点在しているのだが、夕方の散歩中に偶然、そのパラドール、すなわち優雅かつ魅惑的な古城ホテルがあることを発見する。

… が、そのときには残念ながら既に別の近代的なホテルにチェックイン済なのであった。

パラドールでは夕食だけを取ることにする。


14th day & 15th day, Madrid

マドリッドのプラド美術館で

さて、そういうわけで、マドリッドへと到着する。そしてホテルを確保した後、まずはプラド美術館へと向かうのである。プラド美術館には 「裸のマハ」 という、スペイン国の至宝とも言うべき有名な絵がある。是非一目、そのスペイン美術の宝を見たいものだと思ってここまで来たのだ。

しかし …

館内をくまなくさがしてもどうも見つからない。そして、最終的には 「ない」 としか言いようがないという結論になった。しかしどうも腑に落ちない。


プラド美術館で

ちなみにほぼ同じ図柄で、服を着ている 「着衣のマハ」(写真) はあったのだが。本来は 「裸のマハ」 はこの隣にあるはずだったのだ。

結局、美術館の係員をつかまえて聞くと、のんびりした調子で 「ああ、セビリアでエキスポをやってのを知っているかい ? スペインを代表する名画だからね。エキスポに貸し出しているんだ。見に行ってみたらどうだい ? 」 とのこと。と言われても、こちらはまさに、そのセビリアからやってきたばかりである。それだけのために引き返すわけにも行かない。

セビリアに行く前に知っていれば … と、残念な気はするが仕方ない。


マドリッド市内、アルカラ門

さて、ここはスペイン国の首都である。日本人観光客もビジネスマンも多い。ということは日本食レストランも多い。というわけで、この日の夕食は、ガイドブックを見て 「輝 (Teru)」 という日本食レストランへ行くことにする。ガイドブックによると、焼き魚定食が安いわりにおいしくおすすめ、とのことである。行ってみたら、本当に安くてうまかったので、翌日の昼もまたまた 「輝」 へ行く。そして夜は夜で 「東京太呂」 というスシ屋へと向かうのであった。

という具合に、このあたり、もはやスペイン大衆料理などは 「アウト・オブ・眼中」 である。


16th day, 17th day & 18th day

独逸に向けて爆走の三日間

さてこの旅の最後の三日間は、どんどんとばしながら書いてしまおう。というのも、このあたりでスペインと別れを告げて、フランス、ベルギー、オランダを経由して、あとはドイツへと帰るだけなのだ。しかし、ハンブルグまではまだ 2450km ある。そしてあと休みは三日間しかない。

三日間で 2450km 走破という数字自体は、まあ何とかなるか ? というものだが、ひとつ別の問題がある。このあたりは高速道路がないのだ。つまり、その中のかなりの距離、一般道を走る必要があるということだ。

さて旅の 16日め。この日は 850km 走破して、フランスの国境を越える。実に、その中の 700km が一般道である。一般道を乗り切るだけで約 14 時間のドライブとなる。観光はまったくなし。なしといったらなし。しかし、その途中、スペインのイベリア半島を出るあたりで、車窓から見える周囲の風景が、イベリア半島特有の荒涼たる赤茶色から、フランスらしい緑と青の水々しい色へと変貌するのを実感することができた。

へんな言い方だが 「ヨーロッパへ帰ってきた」 と思う。

ボルドーという、ワインで有名な街で宿泊。

その翌日は、900km のドライブ。フランスから、ベルギーの国境を越えてゲントという街へ。到着後、まずは宿を探すのだが、ここでは実に 12 件のホテルを回っても空き部屋が見つからないという経験をすることになった。おそらく何かのイベントと偶然にかちあってしまったとしか思えないが、それが何か今にいたるまで謎である。

こういう場合、8 件めあたりから、探すホテルの値段の許容幅がぐぐっと上下に大きく広がるのである。これでも本当にホテル ? というところを断られて、次に、たまたま目についたというだけで超高級ホテルのロビーに入っていったりする。そうして 13 件めでやっと見つけた空き部屋のあるホテルは、意に反して非常に立派なところであった。が、もはや選択の余地はない。

この旅の最後の晩は、思いがけず、なんと控えの間まである部屋に豪華に宿泊するのであった。


旅の最終日の朝、ベルギーを出発

というわけで、いよいよこの日が旅の最終日。ゲントから、700km の距離を走ってオランダを通り抜けてドイツへと入る。もうこのあたりは高速だ。楽である。高速道路さえあれば。特にドイツに入ってからは速度無制限のアウトバーンなのでどんどん距離をかせぐことができる。

そして夕刻、無事にハンブルグのアパートへと到着 !

総移動距離 7800km の旅。走破した国は、ドイツ、スイス、イタリア、フランス、モナコ、スペイン、ポルトガル、ベルギー、オランダ。

というわけで … ヨーロッパ ぐるっと一周 旅日記。完 !


使用撮影機材: Olympus OM-4 Ti, OM-2 S/P