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Reports
旅日記


Story of 23 December

ウェールズさいはての地へ

さて、サザンプトンを出発する。

今日の目的は、ウェールズの北西端の岬であるさいはて地 「ホーリーヘッド」 の征服である。

というわけで、この日の朝、サザンプトンのホテルを出発して北西に進路を取る。一路ウェールズへと向かうのである。風光明媚なことでも知られるウェールズに入り、更に北西へとクルマを走らせる。

そしてこの日の夕方、ホーリーヘッドへと到達したのである。

しかしホーリーヘッドに着くと、そこは、アイルランドへ渡るフェリーが出る大きな港なのであった。そしてそのせいで、まったく 「さいはて」 っぽい風景ではない。「はるばる来たぞ〜」 という実感もわかない。なんとも残念なことだ。

つまり、ホーリーヘッドという名の大きな港を見物したというわけだ。

ウェールズ北西端の地、ホーリーヘッドにて

さてホーリーヘッドを見たあと、夕闇の迫るなかウェールズの道を走る。岬から街道を少し戻ったあたりで手頃な B&B があったので、とりあえずこの日はそこに泊まることにする。

この B&B は郊外の田舎道にぽつんと存在しており、周りには、レストランなどはない。

従って宿泊プランは 「夕食つき」 のみになっている。しかし、そのわりには 16 ポンドと比較的安い値段である。そのこともあり、三部屋あるうちの二部屋には長期宿泊者が入っていた。リビングで英国人男性二人を紹介される。しばらく故郷を離れて、この近くの建設現場で出稼ぎしている … というような話を聞きながら、テーブルを囲んで夕食を一緒に食べる。

思えばクリスマスイブの前日であった。

部屋は普通のホテルなどよりずっと広くて清潔、なかなか快適。夕食も、英国の手作りの家庭料理の捨てがたい味がある。これで一泊 16 ポンドなら本当に安い。

いいなあ英国の B&B は。

夕暮れのウェールズの道ばたで記念撮影


Story of 24 December

今日はクリスマスイブ

朝、眼をさまして朝食を食べにリビングに行くと、昨晩の二人はもういない。おばさんが出てきてあの二人はクリスマスを故郷で過ごすため早朝に出発していったとのこと。

クリスマス期間中はのんびりしたいので、例年、B&B のカンバンは下げお客さんは取らないのだけど、あの常連二人が急にいなくなって若い人が誰もいないのも寂しいし、よその B&B はしめているところが多いよ、クリスマス中はここでゆっくりしていったら ? と宿のおばさんに勧められる。

昨晩到着したときには、一泊だけの予定で今日出発とおばさんに告げていたのだ。

部屋は快適、おばさんは親切そうだし、夕食つきにしては値段も安いので、一泊のつもりだったこの B&B で、しばらくのんびりすることにしてしまう。

さて、その家の中にはティンシーとウィンバーという大きな犬が二匹、いつもごろごろしているのである。その他にネコも二匹いる。そこで、朝食後はしばらく犬、猫と遊ぶ。犬二匹とはすぐ友達になれたが、ヘンリーという誇り高きネコだけは近寄ってこない。いろいろ努力したがぜんぜんだめ。そのうちに怒り出して、てひどく引っかかれてしまった。宿のおばさん、ヘンリーには近づかない方が良いとまだ言ってなかったっけ ? と言いつつバンドエイドを出してくれた。

こ、こいつが 「ヘンリー」 だ

閑話休題。

ウェールズとは何か ?

エリザベス女王は、一般に 「英国の女王」 と思われているようだが、実はそうではない。では何なのかというとイングランドの女王なのである。

日本語の 「英国」 は英語では 「UK」 に相当する。

UK、すなわち United Kingdom とは、その名の通りいくつかの王国の連合である。その UK を構成する王国とは、イングランド王国の他に、島北部のスコットランド王国、西部のウェールズ王国である。それに北アイルランドをあわせた地域が、いわゆる英国ということになっている。

要するに 「ウェールズ」 という、誇り高き王国がここにあるのだ。

決して、イングランドという国の一地方などではない。この誇り高き 「ウェールズ国民」 に 「君の母国語はイングリッシュか ? 」 と聞くと、おそらくは憮然としてノーと言うであろう。あれは文字通りイングランドの言語である。ウェールズ王国にはウェリッシュという母国語があるのだ。実際、町中でもウェリッシュのカンバンをよく見かける。これは英語の知識では全く判読不可能である。

また、ラグビーの国際大会などで、誇り高きウェールズ王国がイングランドとは別の代表チームを送り込んでくるのはご存じの通り。

ということで説明が長くなったが、ウェールズ王国のシンボルである 「カナーフォン城」 をまず表敬訪問するのである。

ウェールズ王国のカナーフォン城である

さてその夜 …

話相手がいなくなったので、ヒマにまかせて B&B のリビングで、ヘンリーと友達になるべく、いろいろとこころみる。そのうち徐々に功を奏してこちらに寄ってくるようになった。なんとか仲良くなって、ちょうどヘンリーをひざの上にのせているときにおばさんがお茶をもってきてくれた。

おや ! あのヘンリーがひざの上に乗っているとはねえ ! と感心される。

お茶をのみながらしばし犬、ネコ談義をする。というか、そのへんに大きな犬が二匹ごろごろしているのですぐその関係の話になるのである。


Story of 25 December

今日はクリスマス

12 月 25 日。そういえば、今日はクリスマスである。

一人で旅行しているので、今年のクリスマスは当然一人で過ごすのである。

と、思っていたら …

朝食後、部屋でごろごろ本を読んでいたら宿のおじさんがきて 「犬の散歩に行こう」 とさそってくれた。犬の散歩といっても日本のそれとは違い、二匹の大きなやつをボルボのリアシートに積み込んでちょっと離れた森林公園まで行って森の中をひたすら歩き回るのである。

というわけで森の小径に到着。このごろは犬もすっかりなついてくれているので、犬をたっぷり運動させる役を買って出る。犬と森の中をさんざん歩き回わってから、皆で一緒にサンドイッチを食べる。何の縁かウェールズ人のおじさん、おばさんの息子になったような一日であった …

これぞウェールズ流の犬の散歩

こういうのはホテルでは味わえないところ。

英国の B&B はいいなあ …

ううむ今回は、なんだか英国大征服の旅というより、英国人情とふれあいのレポートみたいになってしまったがしかたない。ということで、午後はクルマを走らすのである。

ウェールズの田舎に 「世界中でもっとも長い名前の駅」 というのがあるそうなので見に行ってみることにする。行ってみると、確かに長い名前の駅であった。言い方を変えると、まあ駅名が長い他は普通の駅であった。

世界でもっとも長い名前の駅

さて B&B に帰ると、リビングがやけにがやがやしている。聞くと香港人 9 名が宿にとびこんできたとのこと。そんな人数は完全に定員オーバーなのだが、クリスマスで他の B&B は全てしまっていてどうしても泊めてくださいと懇願されたらしい。新しいゲストは取らないつもりだったけど、そういう事情ではねえ、とのこと。

というわけで、この日は、思いがけずも香港人の皆様とわいわいがやがや騒ぎながら、超にぎやかなクリスマスディナーをとることになった。

12 時ころ、まだまだみなさんは 「宴たけなわ」 ではあったが、部屋に戻りベッドにもぐりこむ。しかしその後も香港のみなさんは騒いでいる。深夜まで声がベッドルームまで聞こえてくる。

まあ、今夜はクリスマスだからしかたない。

というところで Report No.3 へと続くのであった …