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Leica Story #1
Leica M2




Leica M2
Selection



ライカがほしい ! という方の背中を押す話

さて、このページでは機能満載だけどモノとしての魅力に欠ける最新デジカメではない、古典的な味わいをもつ 「名機」 とも呼ばれるべき、真の 「写真機」 をご紹介しております。また、上の欄にある、紹介した写真機で撮影した作品集もあわせて是非ご覧ください。

というわけで、古典的金属製写真機 (つまり 「ホンモノ」 のカメラらしいカメラ) のオススメです。

* * *

さて、写真好きであれば 「名機」 あるいは 「伝説」 とか言われる、写真機の歴史を変えたような 「古典的金属製写真機」 を、やはり、一台は購入するというのはどうだろうか ?

もちろん購入したら飾っておくのではない。フィルムを詰めて実際に写真を撮影する。そしてデジカメとはまったく違う、超精密機械ならではのオーラを感じつつ、その写真機の開発者の気迫に想いをはせるのである。


ということで、魅力あふれる写真機について、魅力を分析してみたい。そして、古典的金属製写真機 (つまりクラシックカメラだ) の購入意欲を誘い 「ということなら購入しても良いかな ? 」 と思う方の背中を押してみたい。

さて … 人生が変わるような写真機が是非このあたりで欲しいものだ !

という場合、ではどうするか ?

おススメは 「ライカ」 を買ってしまうことではないか、と思う。

そして、これは 「初ライカを買おうかな ? 」 と思っている、ビギナーの方の背中を押すためのお話である。ライカの達人の皆様のための役に立つお話ではないので、くれぐれも誤解なきようおねがいしたい。また 「真のライカ使いはライカのウンチクを述べない」 とよく言われる。しかし、もちろん自分は 「真のライカ使い」 などではないので、勝手なことをのべるのである。

著名な古典的金属製写真機 (クラシックカメラ) は数々あれど、何だかんだ言って、やはり 「ライカ」 は特別な存在である。

なぜか ?

ひとつはやはり 「写真機の歴史を変えた写真機」 だからだ。要するに、エルンスト・ライツ社が、まっとうな工業製品としては世界初の 35mm フィルムを用いた写真機である 「ライカ」 を作り、それを世に問うたのが 35mm 写真機の始まりなのだ。そしてその後、35mm フィルムは 「ライカ版」 とも呼ばれて世界を征するフォーマットになったわけである。デジタルの時代になっても 「フルサイズ」 と言えば、いわゆるライカ版の画面の大きさをさすことは、皆様ご存知の通りである。そしてここで紹介する M 型ライカは、そのライカ版写真機の始祖鳥の正統的後継者なのだ。

しかし、ライカのカリスマ性の根元は、もうひとつある。

それは、超一流写真家にプロの道具として使われ続けたという歴史である。ライカを愛する、実に多くの超一流写真家が、写真を撮影する道具としてのライカの歴史を作り上げてきた。そして、その中でも、アンリ = カルテイェ・ブレッソン先生の存在は特に大きいと思う。(その写真は こちら

つまりライカを持てば、かのブレッソンのような、粋なスナップ写真家の雰囲気で、すばらしいスナップ写真の作品が撮れそうというような、考えようによっては無謀な、しかし気分だけでもそういう思いをいざなう魅力があるのだ。

ライカは、つまり 「粋」 なのだ。

軽いし、音は小さいし、そのクラシックな外観により周りの人の見る目も (心なしか) やさしい感じがする。そして何より一流の 「モノ」 としての魅力を発散している。それにより、写真家をして、ふと目に付いた気になる光景を撮影せしめる意欲を持たせる雰囲気をもつ写真機なのである。

例えば、散歩の途中、歩きながらふと、心に何か感じる光景を見かけたりする。と、思ったら、その感じが薄れないうちにぱっと撮影しておきたい。


そして、そのときにいちばん手にしっくりくる写真機がライカなのである。

ということなので、ここらでやはり 「初ライカ」 を買いましょう !

で、もし買うなら (と、もう買うことにしてしまうのだが) 、どのライカを買うか ? が次のポイントとなるであろう。またライカ者の 「聖地」 ウェツラーについても言及したいと思う。

ここでは話をシンプルにするため、ライカといってもとりあえず 「M 型」 で、かつ 「M +数字1つ」 という主流モデルをご紹介したい。またハナシの主旨から、デジタルは除外して考える。すると M 型ライカは Leica M1 から M7 まであり

M3 → M2 → M1 → M4 → M5 → M6 → M7

という順番で発売されているということになる。この中では M6 が、いちばんふつうに中古店で売られているモデルであろう。M6 までは、伝統的な純機械式制御による設計で、銀塩の最終モデルである M7 は中身が電子制御となっている、というのが大筋の理解となる。

なお、その後にデジタル化された Leica M8、M9、M、M10 なども出されている。(デジタル化された Leica については後述)

さて次に、エルンスト・ライツ社の経営危機の経緯をおおざっぱに書く。1950 〜 1960 年代に黄金時代を迎えた後、1970 年代に、エルンスト・ライツ社は営業不振に陥る。ちなみに営業不振になったのは、極東の、我々の住んでいる島国の優秀な写真機製造業者が、安くて品質の良い写真機を大量に欧州市場に輸出して独逸製高級写真機を圧倒しまくったためである。そして会社身売り、社名変更 (エルンスト・ライツ社からライカ社へ) に加えて、工場の移転が行われたのである。

上のラインアップでいうと、ライカの真の黄金時代は M4 まで、というのが通説だ。逆にいうと、M5 製造初期に、急速に経営が悪化したのだ。そして、黄金時代に世界最高峰の写真機を作り続けた工場、つまり移転前の工場の所在地こそが、ライカファンの聖地と言われる 「ウェツラー」 なのである。なお、ちなみに移転後の地名はゾルムズというところだ。

というなかで、Leica M6 と M7 は、基本的にゾルムズ工場製造モデルなのである (例外あり)。

誤解なきように言えば、Leica M6 も M7 も実用的かつホンモノのライカである。買って損のない、とても良い写真機である。

しかし。

本項は 「人生を変えるような写真機」 を手に入れよう ! というのがテーマだ。実用に供するのにベストなライカの選択ではない。

そしてここで比較すべき製品はライカ黄金時代の、旧ウェツラー工場で製造された名機たちである。それらは、まさに独逸マイスター魂の真髄ともいうべき精密工芸品なのだ。嘘だと思うならば、中古写真機店で Leica M3 と M7 を並べてもらって、実際に触って、シャッターを押してくらべてみていただきたい。

オーラが違う … 感がぬぐえないのを感じていただけると思う。

やはり、人生を変える存在としては、ライカ黄金時代を代表するモデルがほしい。

すなわち、聖地・旧ウェツラー工場で製造された、いわゆる 「ウェツラーもの」 である。

ということで、やはり、ライカ黄金時代の 「ウェツラーもの」 をご購入されてはいかがでしょうか ? という話になる。そしてそれが、Leica M2、M3、M4 の 3 モデルなのである。

そして、この三つのなかで、さらにナンバーワンはどれか ?

となると、それが 「Leica M3」 なのである。

しかし、ここでのオススメは 「Leica M2」 としたい。

それはなぜか ?

この中で Leica M2 がいちばんシンプルな写真機であるためだ。そしてついでに言えば、そのシンプルさのせいで使いやすいし、この中ではいちばんお安いのである。


では、次に、実際に買いに行くことにしましょう …

「中古のライカの程度の良し悪しなど見てもわからない」 という場合、まず、何件か回って信頼できそうなカメラ屋さんを探すのが良い。選択基準の第一は 「ビギナーにも親切な店員さんがいるかどうか ? 」 である。また基本は、ユーズド・ライカを沢山並べているカメラ屋さんで、かつ、保証ないし無償返品期間をつけてくれるところということになるだろう。そして後は、店員さんに希望を述べて相談する。ポイントは 「外観の傷は勲章」 くらいに思って、傷の有無をあまり気にしないことだと思う。

そして買ったらすぐ、いろいろ条件を変えながら試し撮影して作動と写りを確認する。例えば:

・ シャッタースピード1秒から 1/1000 まで段階的に撮影
・ 1m 以内、3m 程度、無限遠で撮影しフォーカス精度を確認
・ 明るいところにしばらく置いてみる (光線漏れの確認)
・ 素早く、あるいはゆっくり巻き上げてフィルムのコマが重ならないかチェック

やはり古い写真機なので、中古品の初期不具合の可能性は、やはりある。しかし、プロの機材であるライカは、古くても意外と丈夫である。最初にきちんと試し撮影をして問題なければ、経験上、そのあとばんばん故障するようなものではない。

さて、以上はボディの選択である。

「レンズ」 も買わないと撮影はできない。

そして標準レンズには Elmar 50mm をオススメしたい (Elmar 50mm には多数のバリエーションがあるが、長くなるので詳細は略)。いわゆる、テッサータイプ。三群四枚の、古くからの伝統的な光学設計を継承したレンズである。そしてこのように伝統的で、かつ長い時間を生き抜いたシンプルな光学系のレンズは、やはり、それならではの良さがある。最新のコンピューター設計レンズにはないような。例えば、質感描写がやわらかく自然に見えるというような。

そして、それこそがライカの魔力なのである。

ということで、標準レンズ Elmar 50mm を購入。

やはりまずは、奇をてらわない普通の画角で勝負したいものだ。


レンズは、まあ最初はとりあえずその一本ということで。35mm も欲しいところだが。

あとちなみに、念のために言えば、この時代のライカは露出計を内臓していない。なので単体露出計が必要である。勘で露出をあわせるという手もないではないが …

しかし、以上の投資で写真人生が変わるのである。どうですか (ぽん = 背中を押す音)。

さて … いちおう 「M 型」 の前の世代のライカである 「バルナック型」 にも触れておきたい。

というのは 「伝説」 というなら真の伝説はこちらではないか ? という声もあろうかと思うためである。なお 「バルナック型」 というのはライツ社がつけた名称ではない。35mm 写真機を発明した伝説的天才写真技術者、オスカー・バルナック氏を尊敬するあまり、皆で、バルナック氏設計の、事実上世界初の 35mm 写真機の商業製品である 「 T 」 から始まり 「 IIIg 」 に至るまでの、基本設計を共有する直系一族写真機を通称そのように呼んでいるのである。


そのオスカー・バルナック先生のえらいところは、ご本人が、とてつもない写真機馬鹿であることだ。そして、自分の使いたい写真機を作り上げることに情熱をささげつくしたということだ。そのような、超天才写真機馬鹿開発者御本人様の設計 … というぞくぞくするような伝説感は明らかに M 型を上回る、と思う。

なおマニアックな話になってしまうが 「伝説度」 の観点では、できれば 1936 年までの製造の製品 ( IIIa 型以前) を入手したい。それはまさに、バルナック先生の現役時代の写真機である。つまり、バルナック先生在職時代の、旧ウェツラー工場で組み立てられた写真機である。それが 「おお … いま自分の手元にある ! 」 ということになるのである。(ちなみにバルナック氏の写真は こちら

写真機としてのバルナック型ライカの魅力は、M 型より軽く小さいこと、すごく手になじむボディ、コトンという静かなシャッター音、そして精密機械としてのオーラである。欠点は … というか不便な点は、何というか、まあいろいろあって書ききれない。

よく言われることであるが、例えばフィルム装てん。初心者にはなかなか困難である。フィルム先端部をある形状になるようハサミで切り整えるか、テレカなどをガイド治具代わりに使ってフィルムを押し込むか、ハサミもテレカもないときは、レンズを外してシャッターをバルブにしてレンズの方から指を入れてフィルムを押し込むという危険なことをしなければ装てんできない。

なのでライカ初心者の皆様に最初の一台としてオススメするには無理があるのだが …

しかし 「人生を変える写真機」 としてのオーラは最高である。

上の写真がバルナック型ライカで、1932 年製 Leica DII である。非常にシンプルで余分なものがくっついていない写真機である。

そしてもちろん今でも実際に撮影可能である。

というより、実際に撮影するために、中古写真機店に行って購入したものである。ということはまあ、今でも現役の写真機として中古写真機店で売っていて、そのへんでふつうに売っているフィルムが使えるということでもある。

一見あたりまえに思われるかもしれない。しかし、そうだろうか ?

つまり、製造後 80 年以上の時を経て、組み合わせるべき他の製品との互換性を含めて、まったく問題なく現役で使える機械だということなのである。そのような工業機械製品が他にあるだろうか。そのあたりの普遍性が、ライカという写真機の真にすごいところだと思う。

さて、M 型にしてもバルナック型にしても、非常にカリスマ感のある写真機ではあるが、基本形状的には、我々がよく知っている 「カメラ」 そのものである。(まあ、こちらが原点で、あとから、これに似た形状の写真機がどんどん出てきたのでそうなるのだが)

「非日常性」 という言葉が似合う写真機ではない。ライカより更に写真人生を変えられるような非日常写真機も欲しい … という方もいるだろう。

という方は、次の Rollei Story #1 をどうぞ !


注: ライカの本社工場は再移転してウェツラー市内に戻りました。