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Rollei Story #1
Rolleiflex




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ローライフレックスってどうなの ? という方へ

写真を撮るのが好きで、自分なりのコダワリの写真機を持っていないわけではない。しかし、更に、何か、もっと人生を変えるような非日常写真機も欲しい …

という方にお勧めしたいのが、この 「ローライフレックス」 である。


そして、ローライフレックスといえば 「二眼レフ」 ということになるであろう。

「二眼レフ」 という言葉をあえて説明する必要もないようにも思う。

が、一応簡単に説明すると、ファインダー用と撮影用の二つのレンズが上下に並んでいるタテに長い写真機ということになる。中判 (ブローニー判) という、ふつうの 35mm 版より大きい約 6cm 幅のフィルムを使って撮影する。できあがった写真の見た目上のもっとも目立つ特徴は 「正方形」 の形状となることだろう。

そして 「二眼レフの代表的な写真機を挙げなさい」 ということになると、それがこのローライフレックスなのだ。

そして、このどう見ても 「現代風」 には見えない、クラシカルかつ卓越した存在感の独逸製金属製精密写真機を、あえてこの何でもデジタルの時代に購入して、旅先や日常の気になる風景を撮影してみるというのはどうだ ? というのがこのページの論旨なのである。


しかし。

ローライフレックスってどうなの ? というのが正直なところかもしれない。

まずローライフレックスは基本がブローニー判フィルムの写真機である。ブローニー判フィルムなんて見たことないし、どうもパトローネに入っていないようだ。フィルムの入れ方からして敷居が高い、と思われる方も多いだろう。ついでにお値段も高そう … と思われる方も多いだろう。

にもかかわらず、なぜローライフレックスを買うべき、とここで言うのか ? その魅力は何か ? を述べてみたい。

さて、ローライフレックスの魅力を思いつくまま三つ挙げると、やはりまずは、装着されている名高いレンズ、モノとしてのオーラというか卓越した 「ホンモノ感」、次にそしてもうひとつ、写真史に名を残す伝統のブランドということになるであろう。

さて、写真機の 「欧州・四大ブランド」 というものがある。ライカ、カールツァイス、ハッセルブラッド、ローライの四つである。ちなみに、このなかでハッセルブラッドは独逸製ではない (北欧スウェーデン製だ)。

というわけで 「独逸・三大ブランド」 は、ライカ、カールツァイス、そしてローライとなる。

そして、ライカ以外の二つを手にしたいと思ったら、ローライフレックスを買えばよいのだ。なぜならば、ローライフレックスにはカールツァイスレンズが装着されているからである。例えばクルマ好きにとっては、これはまさにメルセデスのシャシーに、BMW エンジンが搭載されていて、一台のクルマにその両方のバッヂがついているようなものだ。あるいは、トヨタ車に日産のエンジンが載っているようなものだ。いや少し違うか。

さらに 「カールツァイス」 といっても、最近よくある 「カールツァイス・ブランド」 だが、実は国産というレンズではない。独逸本場、それも黄金時代のオーバーコッヘン本社工場製造のレンズである。

そう考えると、ローライフレックスは、実はお値打ちであることがおわかりだろう。

特に 「プラナー」(Planar 80mm F2.8) というローライフレックスについているレンズは、独逸写真工業界黄金時代のカールツァイス社が製造した 「この深い豊潤さは他では得られない」 とまで言われるほどの伝説のレンズなのだ。ここまで来ると、何かワインの話でもしているようだが …


そして、そのような伝説的名レンズがついて、精密かつ独逸魂あふれる金属ボディをもち、なおかつ名門 「ローライ」 のブランドのついた写真機なのである。

更にその上で …

ローライフレックスには、卓越した 「ホンモノ感」 というスパイスが効いている。つまり長年にわたり、真のプロフェッショナルが信頼して使い続けた 「道具」 としてのオーラがあるのだ。数多くの超一流写真作家がローライフレックスを使って残した写真のなかで、忘れてはならないのは、エルスケン (Ed van der Elsken) というオランダ人写真家の代表作、街かどのセルフポートレートであろう。(その写真は こちら

この作品を見ると、はやりのデジタル一眼レフでシャカシャカ撮影するより、この方がずっとずっと粋ではないか、という思いを持たれるのではないだろうか。

… では次に、ローライの歴史を見てみることにする。

「ローライフレックス」 というのは会社の名前ではなく写真機の名前である。そもそもの製造メーカーは 「フランケ & ハイデッケ」 という。これは、その名の通り、フランケさんとハイデッケさんという、二人の独逸人が創設した会社である。そして、この会社が、ブローニー判二眼レフ写真機というものを発明したのである。

そして、1920 年代終わりに作られた、記念すべき世界初のブローニー判二眼レフに付けられた名称こそが 「ローライフレックス」 なのである。そして、その写真機は大ヒット製品となった。そのこともあり、ローライフレックスがシリーズ化したため、いまは 「ローライフレックス・オリジナル」 と呼ばれているモデルである。

その後、ハナシを簡単にするため戦後まで話をとばすと、1950 年に Rolleiflex A なるモデルが出されたということになる。そのあと主流モデルに絞っていうと

A → B → C → D → E → F

というようにモデルチェンジがなされたのである。

しかし、順調なのはこのあたりまでであった …

Rolleiflex F まで来たところで、フランケ & ハイデッケ社は経営難におちいる。ちなみに経営難となった理由は、我々の住む極東の島国の安くて品質の良い写真機が世界市場を席巻したせいである。そして経営難の末、オーナーが二転三転し、社名も二転三転した末に倒産し、二眼レフの製造も止まってしまう …

しかし。

この名門メーカーがなくなるのを惜しむ人が多かったのだろう。紆余曲折の末、不死鳥のようにローライ・フォトテクニック社として復活する。1987 年には、それまで製造の途絶えていた二眼レフも復活する。これが Rolleiflex GX である。そしてその後継モデルが Rolleiflex FX という名称となった。

結局、戦後のローライフレックスは以下のようになった。

A → B → C → D → E → F → GX → FX

さて、それではこのなかで、どのモデルがベストか ?

結論を言えば 「Rolleiflex F」 である。

「Rolleiflex F」 は 「究極の二眼レフ」 といわれるほどの伝説のモデルなのである。そのため、これを買おうとすると困ったことがある。一番人気だけあって、高いのである。

確かに「Rolleiflex F」 は魅力的だが、中古市場で高値安定相場の人気機種である。いざ財布から出すとなると 「安いとはいえない」 と思わざるを得ないお値段である。

ということで、どうするか。何か別なやつはないのか ?


というと、それがあるのだ。「Rolleiflex T」 である。

上の主流モデル系列に出てこない 「Rolleiflex T」 は、つまり、主流ではないモデルということになる。簡単にいうと、主流モデル系列の下にある低価格普及版である。名称の T は、搭載された 「テッサー」というレンズに由来するのだが、要するに、伝説の 「プラナー」 ではなく、構成がシンプルなため原価がお安い 「テッサー」(Tessar 75mm F3.5) を搭載していたためお安い値段で売られていたのだ。

しかし。

ここがポイントだが 「テッサー」 が、本来はローライフレックスの伝統なのである。つまり初代 「ローライフレックス・オリジナル」 に搭載され、素晴らしい描写で、その後のローライフレックスの歴史の礎となった伝統の名レンズが、テッサーなのである。

つまり何が言いたいかというと、

「プラナーもいいけど、ローライフレックスの伝統はテッサーだよね」

などとというセリフを、ときどき口走ればよいのだ。それで、皆さまも 「Rolleiflex T」 購入を検討されるとよいと思うのだ。というのは、ここが重要な点だが、銀塩フィルムを用いる写真機の全体の価格が下落傾向であるなかでも、特にこの機種は中古価格が安いのである。

ブローニー判フィルムを装填して上からのぞいて撮影という非日常性を味わうため、独逸黄金時代の古典的金属製写真機とカールツァイス・レンズを味わうため、そして 「ローライフレックス」 という伝統のブランドを手にするため 「買っても良いかな ? 」 と思われるのではないだろうか ?

そう、それで、人生が変わるのだ。

ぽん (と背中を押す音)。


ということである。が、一点だけ補足したい。

そして魅力的なローライフレックスをもう一台だけご紹介したい。

「二眼レフ」 という形式の写真機はレンズ交換ができない。それはそれで良いところもあるのだが、やはり、広角や望遠で撮影したいときもある。ローライ・ムターというレンズの前につけるコンバーターがあるが (上の写真)、やはり、限界がある。

そのため、レンズ交換ができるローライフレックスにも、最後に少しだけ触れておきたいと思う。Rolleiflex SL66 シリーズ (下の写真 = Rolleiflex SL66SE) だ。

というのは …

最近、中古カメラ屋の店頭を見ると、この、なんでもデジタル写真という時代の恩恵で、銀塩中判フィルム写真機専用の交換レンズは、大変にお安いのである。ちょっと前には手の届かない価格だった名レンズが、まさに 「価格破壊」 というお値段で並んでいる。

なので、ここらで、往年の 「伝説のレンズ」 を、交換レンズとして、買っておくというのも選択肢となると思うのだ。となると、もちろん狙いは、カールツァイス・オーバーコッヘン本社工場製造のレンズだ。


そして、「これなら人生を共にしても良い …」 と思えるような 「これぞ」 という名レンズを、二本か三本、手もとに置いてみるというのはいかがなものだろうか ?

人生を少し豊かにしてくれる存在のようにも思うのである。そして、ときどきは、それを写真機とともにバッグに詰めてみよう。そして、散歩にでもでかけよう。

街角で、ふと心に触れるような光景を見かけたら、慎重に撮影 …

きっと、永く思い出に残る写真が撮れるはず。

この写真機は、しかし … 相当重いのが欠点なんですが。


さて、コンパクト写真機について、次の Rollei Story #2 に書いてみたい。