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Leica Story #2
Leica M Monochrom




Leica M Monochrom
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デジタル化されたライカについて

写真好きの皆様に、モノとしての魅力あふれる 「古典的金属製写真機」、つまり、いわゆる 「クラシックカメラ」 の購入をお薦めしたいというのが、このページの主旨である。しかし今回ついにデジタル写真機が登場してしまうのだ。


さて、古典的金属製写真機の魅力は何か ?

それは何といっても、その金属の質感と精密感、歴史と伝統であろう。そして、それらの結果として写真機から発せられるオーラである。まさにそれこそが、現代のデジタル写真機の失ってしまった大切なものなのであるから。

そしてそのような古典的金属製写真機の象徴として 「ライカ」 という存在がある … はずである。

それに比べて現在のデジカメの安っぽさはなんとしたことであろうか !

ということが言いたいことのはずである。

しかし …

古典的金属製写真機のご本尊である 「ライカ」 もいまやデジタル化されている。

35mm 版あるいは 「ライカ版」 とも呼ばれる、事実上世界を制した写真フォーマットを確立して 「写真機の歴史を変えた写真機」 という伝説をもつ 「ライカ」 だが、Leica M8 というモデルからは、デジタル化された写真機が正統的後継者とされているのだ。


ということで 「デジタル化されたライカ」 について述べてみたい。

さて、そのデジタル化された Leica M8 が日本メーカー製造の OEM 製品であったり、ドイツ流のゲルマン魂が特段感じられないような (言い方は悪いが) 単なる 「なんちゃってライカ」 であったならばハナシは簡単である。

「なかったこと」 にすればよいからだ。

しかし、幸か不幸か、そうではなかった。

登場した Leica M8 は 「確かにこいつはライカの製品だ」 というようなスピリットをしっかりともった、とても魅力的な写真機であった (下の写真 = Leica M8.2)。

そして、本格的なライカのデジタル時代が幕を開けてしまったのだ。


まあ一点補足すると、もし Leica M8 が日本メーカーの OEM 製品だったら何か困ることがあったか ? というと、それはないだろう。機能が充実し、お値段も安くなったにちがいない。

しかしここではそこが論点ではない。伝説を引き継ぐ資格のある、ホンモノのライカ写真機として認められうるモノかどうか ? ということなのである。

もちろん、旧ウェツラー工場製の黄金時代のオールドライカと比べると、やや、オーラは足りない。が、それは仕方ない。しかし、それでも、真の 「ライカ」であるということが十分に伝わる写真機なのである。こいつは。

そしてそれは 「フィルムでなければ伝統を引き継ぐべき真の写真機ではない、なんてことはないですよ。これからは、デジタル写真機が、名門ライカの伝統を引き継ぐんですよ」 というライカからのメッセージでもあった。

その意味で、写真機の歴史の流れを変えた写真機ではないかと思うのだ。

余談になるが Leica M8 は 「使いこなし」 をユーザーに強いる写真機でもあった …

しかし、それを吹き飛ばす魅力は、その画像である。

ライカらしい、とても美しく感じられる独特の画像と、作りの良さ、Leica 史的意義により、今でも世界中に熱烈なマニアが大勢いる写真機でもある (自分もその一人です)。

この 「Leica M8」 は Leica Story #3 でご紹介したい。


しかし。

ここでは、さらにご紹介したい写真機がある。

そのあと、ライカ社が世に送り出した Leica M Monochrom (初代) だ。そしてこいつは、その名の通り、モノクローム写真撮影専用のデジタル写真機である。つまり、カラー写真は一切撮影できないのである。

しかし、そのモノクローム画像の美しさ、トーンの豊かさ、そして繊細さはどうだろう !

もちろん普通のデジカメの画像から色を抜いてモノクロに加工した写真と画質面での差がなかったら、この写真機の存在意義がそもそもないのだが。

そして、ライカ黄金時代の精密工芸品のようなヴィンテージ・レンズを装着して、その絶妙な味わいをオリジナルの 「ライカ版」 の画角で、そして、繊細なトーンのモノクローム画像として残すことができるのである。

あるいは、そのためにこそ存在する写真機だ。


そして、ここで言いたいのは、そういう、例えば、モノクローム写真を制作するという 「伝統文化」 の継承のためだけにあるような写真機が、デジタルでも出てきているということである。

さてその上で …

「古典的銀塩金属写真機そのものではないにしても、古典的銀塩金属写真機のような、引き継ぐべき伝統や、ホンモノ感をもつデジカメという存在はありうるのだろうか ? 」

というテーマについて考察してみたい。

そして、その答えは 「これからのデジタルカメラは、そういう方向性に向かって進化して行くしかない」 ということになるのではないか ?

ということが、結論なのである。

そうでなければ、いずれ皆、スマホでしか写真を撮らなくなってしまうであろう。

愛着のもてる 「写真機」 で、旅先で見かけた風景を、心をこめて撮影したい …


そのような 「文化」 が末永く存続して欲しいと思うのである。そして、そのためには、デジタル化された写真機が、愛着を持てるようなホンモノの道具であらねばならない。

しかし、カメラメーカーの皆さまも、先刻百も承知であろう。

これからのデジタル化された写真機には 「モノ」 としての魅力が必須だということを。更に、単に表面的なモノとしての魅力があればいいというだけではなく、道具としてホンモノであることも求められることを。そして、そのためには歴史とか伝統とか、継承し積み上げていかなければならないものがあるということを。

歴史とか伝統とかは一朝一夕にしてなるものではない。

そして、歴史と伝統を、真に 「持っている」 のデジタル写真機第一号は何か ? というなら、カリスマ写真機としての伝統をしっかり承継しつつデジタル化された M 型ライカこそが 「それ」 ではないかと思うのだ。

一台手もとに置いても良いのではないだろうか ?

ただし …

Leica M Monochrom にも問題はある。それは強烈な 「銀塩フィルム写真機キラー」 だということだ。その持ち主の古典的金属製写真機たちの出場機会を迅速に駆逐し、棚の上のカザリモノへと追いやってしまうのだ。

大変に危険な存在でもある …


最後に、名機 Leica M8 / Leica M8.2 をご紹介する Leica Story #3 をどうぞ。