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Leica Story #3
Leica M8 / M8.2




Leica M8 / Leica M8.2
Selection



名機 Leica M8 / Leica M8.2
100% 活用マニュアル

このページでは、名機 Leica M8 / Leica M8.2 の魅力をご紹介しています。

そして公式取扱説明書には書かれていない裏ワザを含めた、100% 使いこなすためのお役立ち情報を提供したいと思います。

* * *

Leica M 型のデジタル写真機を物色するが … どうも価格が高い、高すぎる … と、お思いの方は多いと思う。

そして、そのような場合に視野に入るのが Leica M8 だ。

しかし …

ここが重要なポイントなのだが、Leica M8 / Leica M8.2 は 「ライカにしては手頃な価格だから」 ということだけで買うようなデジタル写真機ではない。世界中に熱いファンが大勢いる歴史的名機であり、現代のクラシック・デジタル写真機なのである。

その一方で …

Leica M8 / Leica M8.2 は使用者に独特な 「使いこなし」 を強いる部分がある。大きな魅力とともに、無視できない種々の不便さが同居する写真機なのである。

なので、そのあたりをご存じなく購入されると後悔するかもしれない。そのため関連情報をここに整理してみたい。


まず、Leica M8 / Leica M8.2 の説明から。

Leica M8 は、ライカの M 型として初めてデジタル化された写真機である。2006 年発売。そして、その二年後にバリエーションモデルとして Leica M8.2 が発売されている。この二機種の画質はまったく同じ。構造もほぼ同じである。

Leica M8 と比較した際の Leica M8.2 の違いは、まず外観から書くと、ブラックタイプの場合は、ボディがブラッククローム (黒メッキ) からブラックペイントになったことと、ライカのロゴマークが赤から黒になったことである (上の写真は Leica M8.2)。

シルバータイプについては、アクセサリーシュー部の小さい文字の表記を別にすれば、グリップ部のレザーの模様がわずかに異なるだけである。ライカのロゴマークも赤だし、ボディの表記は Leica M8.2 でも Leica M8 のままだ (これは、ブラックも同じ)。

シルバータイプは、外観上の違いはほぼないと言っても良いだろう。

なお、Leica M8.2 のブラックペイントは、それ以降の機種よりペイントの艶が美しい。機会があれば、Leica M9 以降のブラックペイントと並べて比較してみていただきたい。

次に、Leica M8 と比較した際の Leica M8.2 の機能面での違いは、おおよそ以下となる。

・ シャッターの静音化
・ スナップショットモードの追加
・ 背面 LCD のカバーガラスがサファイヤガラスになること
・ ファインダー視野枠がわずかに拡大

このなかで、スナップショットモードというのは、細かい設定ができないようにした一種のおまかせモードである。例えば、ISO は AUTO、画質は JPG-Fine 固定になり他の設定にはできなくなる。そのため個人的にはほぼ使う機会はない。

一方で、Leica M8 は、最高シャッタースピードが 1/8000 となっている。この 1/8000 のシャッタースピードが使えるのは Leica M 型では Leica M8 のみである。これが、あえて Leica M8 を選択する理由になる場合もあるだろう。Leica M8.2 以降の全モデルは、最高シャッタースピードが 1/4000 になっているためだ。なおついでに言えば、ストロボ同調のシャッタースピードも、Leica M8.2 の 1/180 に対して、Leica M8 は 1/250 というアドバンテージがある。

その反面、Leica M8 は、1/8000 の最高シャッタースピードを達成するために、やや甲高く響くシャッター音となっている。静音化とどちらを好むかは人それぞれだろう。

撮像センサーは KODAK 製 CCD。サイズは APS-H (1.33x)。

この撮像センサーにはモアレ防止のためのローパスフィルターがない。ついでに赤外線光をカットするフィルターもない。しかしそれが、独特な、ピュアかつシャープな画像の生成に寄与していると見られている。

また、この KODAK 製の CCD による画像は、その色調が KODAK フィルムで撮影した画像に似ていると言われる。それについては、Leica のエライ人がどこかのインタビューで肯定しているようだ。少しだけ渋い独自の味がある色味である。

画素数は 1030 万画素。しかし、1030 万画素としては非常に鮮鋭な画質である。実使用上、半切くらいに伸ばす上ではまったく支障はない。

ライカによる初の本格的デジタル写真機であり、造りの良さとたたずまい、光学式レンジファインダーの魅力はライカそのものである。画質も、独自の色調による仕上げも含めて、いろいろな意味でライカ技術者の思い入れやピュアなスピリットが感じられる。

であるがゆえに、いまでも世界中で熱いファンが多いのだ。

なお、実用的なデジタル写真機としての万能性を期待してはいけない。期待外れな結果になることもあるし、カラブリもある。しかし、スィートスポットにはまればとても味わいがある画像を見せてくれる。さような趣味性 100% のデジタル写真機なのである。



さて、以下が本論なのだが Leica M8 はその 「使いこなし」 においてクセがある点がある。

それを、一つずつ検討してみたい。


(1) センサーが赤外線に感光する。

これは有名な話だが、Leica M8 / Leica M8.2 の撮像センサーは赤外線光の感度がある。そのため、レンズの前に UV/IR というフィルターをつけることをライカは推奨している。UV/IR フィルターをつけないと、屋外で黒い布 (服) を撮影したときに紫っぽくなるのだ。

また、植物の種類や季節などによって異なってくるのだが、木や草の緑色も赤外線光を含むので、かなり黄色っぽくなってしまう場合がある (下の比較写真参照)。


これについて若干の解説をしてみる。

被写体によってはあまり気にならないし、後加工でごまかすこともできるので、気にしない手もある … と思いきや、やはりそうでもない。個人的には一回失敗して身に染みた経験がある。UV/IR フィルターをつけずに屋外で黒い和服を着た人をたくさん撮影したのだが、すべて紫になったのである。その場合、後加工で紫の彩度を落とすと、本来紫色の部分の彩度も落ちてしまう。画像を救うのはかなり面倒な作業となるのだ。

この問題に対処するため、Leica は新品の販売時には、Leica M8 / Leica M8.2 購入者に UV/IR フィルターを無償配布した経緯がある。しかし、中古流通時点ではそれはついてこない。そして、このフィルターは新品で買うととても高い (15000 〜 20000 円だ ! )。さらに、いちばんよく使うであろう E39 のサイズのフィルターがディスコンになってしまい、もう新品では流通していないという問題もある。

中古市場で流通している UV/IR フィルターを探すしかない。

いずれにしても、Leica M8 / Leica M8.2 で植物の緑色や屋外での洋服の正確な色味の再現をしたければ、UV/IR フィルターが必須となる。そのため、常用するかどうかは別として、一枚か二枚は UV/IR フィルターを入手しておきたいところだ。

その一方で 「手持ちの全レンズのフィルター径に合わせて必要枚数の UV/IR フィルターを購入しよう」 という考え方は現実的ではない。中古でも価格が高い (10000 円程度) しフィルター無しで撮影できないわけではない。

また、そのようにして UV/IR フィルターを入手したら、是非 UV/IR フィルターありとなしの両方で同じ被写体を撮影してテイストの違いを確認してみていただきたい。

もちろんフィルターがある方が色味は正確である。しかし、フィルターなしの、赤外線光を少し露光した画像の方が人間の眼に好ましく感じることも多いのである。また見方によっては、この両方を自在に撮り分けられることが Leica M8 / Leica M8.2 ならではの特権ともいえるのである。

また UV/IR フィルターを外して撮影した DNG ファイルは、モノクロに現像した際の諧調がとても良く、Leica M9 以降のモデル (M Monochrom を除く) より、モノクロ画像は上というのが海外のサイトで定着しつつある評価である。

結論として、UV/IR フィルターは必要ではある。ただし一枚か二枚持っておいて、被写体の状況に応じて付けたり外したりする使い方がおススメのように思われる。



(2) UV/IR フィルター装着時に広角レンズで出るシアンドリフト問題。

さて、UV/IR フィルターをつけたらつけたで、次の問題として、広角レンズにいわゆる 「シアンドリフト」 という現象がおきるのである。

これは、UV/IR フィルターをつけた広角レンズで撮影した画像の周辺部にシアン (青緑) がかぶるという問題である。具体的には、例えば、真っ白な被写体を撮影したときには、周辺部分に、下の写真のような感じで青っぽい色がのるのだ。


この現象は、50mm 以上のレンズでは発生しない。35mm レンズの場合は、画像の四隅にうっすら色がついているかな ? という程度であまり気にならない。しかし、28mm 以下だと明らかに対策が必要となる。

その対策方法はいくつかある。

まず、本命は、ライカ純正の 「6bit code」 つきのレンズを買うこと。その場合、Leica M8 / Leica M8.2 はレンズのコードを読み取って、自動的にシアンドリフト現象を補正した画像を生成してくれる。

しかし、Leica M8 が登場する前に売られていた、ちょっと古いレンズを中古で買ったような場合は 6bit code は付いていない。そのような場合、購入後、ライカのサービスセンターにもっていって 6bit code を入れてもらうことも可能だが、もちろん有償である。そしてオールドレンズは、いずれにせよ 6bit code を入れてもらうことができない。ライカが、オールドレンズの 6bit code を設定していないためだ。

もちろんライカ純正以外のレンズもダメだ。

塗料や黒色のテープ (テプラなど) で自分で 6bit code 入れることもできなくはない。

それにご興味がある場合、6bit code を個人で入れるためのノウハウを 「fake 6bit code」 というワードで検索して探してみるとすると良い。いろいろと情報がでてくる。

ただし、経験的にいうと、素人がレンズマウントに入れた Fake 6bit Code は、写真機側がなかなか認識してくれない。かなりの試行錯誤が必要である。

なお、L マウントのレンズの場合は、6bit code を入れることができるように工夫されたマウントアダプタも市販されている。例えば 「KIPON マウント変換アダプタ L-M 6bit」 という製品だ。その場合は、マウントに 6bit code を入れるための六個の穴が開いているので、そこに所定の順番で白と黒の色入れをするだけで良い。

なお、ライカのオールドレンズやサードバーティのレンズには、いずれにしてもそのレンズための 6bit code の設定はない。そのため自分で 6bit code を決めなければならない。基本は、ライカのなるべく似たスペックのレンズのものを入れることになる。ライカのレンズごとの 6bit code の情報は こちら を参照されたい。

次に、6bit code を入れられない、あるいは入れない場合。

シアンドリフトが出て周辺にシアンがかぶった画像を、後から、ソフトで画像処理をして補正するという手がある。その場合のおススメは Cornerfix というフリーソフト。お試しになると良いと思う。

このソフトは英語版しかなく、使い方がわかりづらいので簡単に解説しておこう。

まず最初に、このソフトを使ってシアンドリフトを補正するなら、画質を DNG に設定して撮影すること。ソフトの機能として DNG ファイルしか加工できないためだ。

次に、このソフト自体がレンズごとのシアンドリフト補正用のデータをもっているわけではない。そのため、まず最初に、レンズごとの補正データを作る必要がある。まず、東急ハンズや模型工作材料店などで 10cm 角の白色プラ板を購入する。それを、レンズ直前において、プラスに一段半程度補正して空に向けて DNG で撮影する。WB はマニュアルで設定。絞りは F5.6 くらい。

その撮影で得られた DNG ファイルをこのソフトで開く。そして、Lense profile → Create と進むと、補正データのファイルが生成される。そのようにして生成されたファイルは後で使うことになるので、その際に識別可能なようにレンズ名を特定できるファイル名で専用のフォルダに保存しておく。ちなみに補正データ用のファイルの拡張子は .cpf になる。

撮影した画像を補正する時の使い方は以下である。まず、Lense profile → Open と進んで補正用データのファイルを読み込む。次に、File → Open image と進んで、補正したい DNG ファイルを開く。すると、自動的にシアンドリフトが修正された画像ファイル (DNG) が生成されるので、元のファイルを上書きするか、適当な名前をつけて保存する。

あとはふつうに、Lightroom で現像する。

なお、このソフトには周辺光量補正機能がついている。それは良いのだが、デフォルト設定のままだとレンズの周辺光量低下を勝手に 100% 補正して 「周辺光量低下ゼロ」 の画像にしてしまうのである。勝手に周辺光量低下を補正されたくないという場合は、使用前にその設定をしておく必要がある。

Options → Image Correction Option と進み Lumminance をゼロにしてください。



(3) SD Card との相性によりトラブルが出る。

SD Card との相性がデリケートなのは注意が必要な点である。

これがライカ写真機の 「お姫さま」 らしいところ。相性がよろしくない SD Card とご一緒すると、撮影後に固まってしまうことがあります。するとその撮影画像は記録されない。さらにご機嫌が悪いと、撮影済の全ファイルを壊してしまうという事故を起こすのだ。

その予防のための工夫を探すと以下のような情報がある。

まず、ライカの推奨している、サンディスクの SD Card を使う。

次に、SD Card は、必ず SD Formatter というソフトでフォーマットすると良いということが、米国の各種のサイトで推奨されている。これは SD Card を、技術的にもっとも正しい仕様でフォーマットするというソフトである。

フリーズが起きやすい SD Card (例えば、二回以上フリーズが起きたもの) は、相性が悪いと判断して使わないようにする。つまり、他のデジカメ用にまわす。逆に、なぜかトラブルが起きないものがあったら、それを大切に使うようにする。

撮影中の注意事項は以下である。

撮影後、データ書き込み中は LED が点滅しているが、その最中は、撮影以外の行為、つまり設定変更や再生ボタンを押すなどの行為をしない。ちなみに、データ書き込み中に再生ボタンを押した場合、現在データを書き込み中のその写真ではなく、そのひとつ前に撮影した写真が再生されるたけなので、その行為自体があまり意味がない。

LED 点滅中は撮影もしない方が良いのだが、それでは本末転倒であろう。なお、連射的な撮影をするときは連射モードにする方が良いようだ。シングル撮影モードのままで、連続的にシャッターを押して連射的な撮影した際にトラブルが出た経験が複数回ある。

また万一、撮影中のデータ書き込み中にフリーズするトラブルがあったら、その場で SD Card を抜いて、別に用意したものに交換する。書き込み途中でとまった際に生成された半分壊れたファイルが、次のさらなる甚大なトラブルを誘発するのだ。その後で、電池の抜きさしでリセットして作動を復帰させる。

そして写真機でのデータ消去は避ける。データを PC に転送後 SD Formatter でフォーマットしなおすのだ。

なお、上記すべてを実施するようになってからは、うちのお姫様はご機嫌がよろしいです。



(4) その他いろいろ。

・ 背面 LCD がしょぼいという声多数だが、LCD なんてこの程度で十分。

・ 動画とか GPS とか Wifi とか EVF とかはない。無いの ? という方は買わない方がいい。

・ メニュー画面の日本語の文字がとてもへんである。英語表記にするとよい。

・ JPEG の画質はよろしくない。DNG で撮影してください。

・ モアレが出やすい。Lightroom で現像する際にフィルターで除去してください。

・ あと、coffee stain という問題がでやすい。

海外サイトで "coffee stain" と書かれている不具合は、背面 LCD の中央に茶色のシミができるという現象である。これが、Leica M8 / Leica M8.2 の持病である。

というのは、この coffee stain には根本的な再発防止対策がないのだ。まだ、背面 LCD の交換修理をすることはできるかもしれないが、修理費が高いし、対策部品があるわけではない。そのため運が悪ければ再発する。

なおこれは、単に背面 LCD の中央部分が少しコーヒー色になるという現象である。撮影にも、撮影画像にも全く支障はない。そのため、不幸にも発症してしまったときの最善の対策は 「気にしない」 ことだと思う。また、稀に自然治癒することもある。

さて次に、当たり前だが、Leica M8 / Leica M8.2 を初 Leica として購入した場合、それだけでは撮影できない。最低ひとつはレンズがないと。

Leica M8 / Leica M8.2 と組み合わせる最初のライカレンズは何が良いか ?

最初に買うべきレンズは、やはり広角から標準の画角の Leica 純正レンズで、6bit code 付きのモノだろう。

そして、結論としては、最初のレンズとしては Elmarit-M 28mm F2.8 ASPH をおススメしたい。Leica としては … まあ … リーズナブルな価格で販売されていると言ってもやぶさかではないような気がする (一般的な金銭感覚ではかなり高い …)。

このレンズの写りは定評がある。また 28mm レンズは、Leica M8 / Leica M8.2 での画角はフルサイズ換算 37mm。ちょうど良い感じである。ほぼ 35mm レンズの感覚で使える。

二本目として 「サードバーティ製でも良いから、手頃な値段で広角 ! という感じの写真が撮れるレンズがほしい」 という場合どうするか ?

その場合は Voigtlander Color-Skopar 21mm F4 が良いと思う。その際、M マウントの新品で売っているやつではなく、あえて、古い L マウント の中古品を探すのがポイントである。そして、35/135mm 用の L/M マウントアダプターを装着するという裏ワザがある。

Leica M8 / Leica M8.2 には 21mm (フルサイズ換算 28mm) ファインダー枠はないが、35/135mm 用の L/M マウントアダプターを装着すると 24mm 用のフレームが出てくる。

少し視野率は下がるが、それで撮影するのである。

その上で、もし L/M マウントアダプターに 6bit code を入れられるなら、時計の 12 時方向に 6bit code を向けたときに 「黒黒白白黒白」 と色入れをする。これは Elmar-M 24mm F3.8 の 6bit code だが、それでシアンドリフトが完璧に補正される。

FAQ

Q:絞りのデータをボディ側、あるいはファインダー内で見ることができますか?

A:できません。Leica M システムのマウントは、レンズの設定絞り値のデータをボディ側に伝達できないためです。ただし、ボディ側のセンサーによって測定した外光と露出光の比較により 「推定絞り値」 が写真のメタデータに記録されます。ボディ内で周辺光量の補正量を決めるためのデータとして用いているのだと思います。

Leica M8 / Leica M8.2 では、この推定絞り値は、そのままでは Exif データには反映されません。しかし、DNG で撮影して Lightroom で現像すると、現像された JPG ファイルの Exif に絞り値が表示されるようになります。ただし、あくまでも推測値です。記憶にある絞り値と一致しないことはよくあります。

さらに 「推定絞り値」 が、レンズの開放絞り値より明るくなることがあるのもご愛敬です。

Q:上部の小窓に表示される数字が 999 のままです。変えることができますか?

A:まず、撮影可能残枚数が電源 ON 時に常に見えているのは、Digital M System では Leica M8 / Leica M8.2 だけの特権です。しかし、DNG ファイルの容量が 11MB 弱しかないので現代的な容量の SD カードの場合、撮影可能残枚数がほぼ常に 1000 以上となります。その際、表示は常に 999 となります。全く意味がありません。

ここに意味がある、かつ動く数字を表示させたい場合は、8GB の SD カードを用いてください。画質の設定を DNG にすると 745 くらいの表示になります。その後、撮影する度に減っていく数字を見ることができます。高速連射する写真機ではない (というか、できない) ので、十分な撮影枚数でしょう。



(5) 裏ワザ:サービスモードについて。

まずは、Leica M8 / Leica M8.2 のサービスモードの出し方から書くと、以下である。

ON → RIGHTx4 → LEFTx3 → RIGHTx1 → INFO

ちなみに、Leica M9 / M Monochrom / M-E では:(ついでに書いておきます)

ON → DELETE → UPx2 → DOWNx4 → LEFTx3 → RIGHTx3 → INFO

そして、サービスモードの使い方は以下。

まず、これまでの通算撮影枚数の情報を得ることができる。サービスモードの Body debug data というページを開けて下の方にスクロールすると 「NumExposures」 という欄があるはず。下の写真だと 「17310」 になっている。これが、これまでの通算撮影回数情報だ。


Leica M8 / Leica M8.2 には、サービスモードを使ってロスレスの 14bit RAW という撮影モードをメニューにを登場させるという裏ワザがある(通常は 8bit)。

その方法は:

・ サービスモードに入る。
・ シャッター半押しでサービスモードから出る。
・ SET を押して設定画面へ。
・ 画質の選択肢に 「JPG fine + RAW」 が追加されているので選択。

なお、このロスレス RAW モードでは、通常の DNG ファイルより誤差程度だが画素数が増える。

欠点は、電源を落として再投入すると設定が解除されていること (再度、サービスモードから設定しなおさなければならない)、ファイルの書き込みに時間がかかること、そして、このモードで生成された RAW ファイルの処理方法が複雑であることだ。

そして、CCD の画素欠けをソフト的なマッピングで修正している個体では、この設定で得られたファイルがマッピング修正前の画素欠けが見える画像になることである。

この裏ワザの更なるノウハウは複雑なのでここでは省略するが、その情報にご興味がある方は 「m8raw2dng」 というキーワードで検索してみてください。

ちなみに Lieca M8 / Leica M8.2 は、ふつうに撮影しても、低 ISO であれば非常に良いクォリティの画像が得られる。そのため、この高画質モードでの撮影という手法は、もう一つレーゾンデートル的な問題がある。つまり面倒な手間をかける撮影法にも関わらず 「通常の撮影画像と全く見分けがつかない」 のである。

後記: Leica M8 / Leica M8.2 の裏ワザである 14bit RAW ファイルに関わる各種ノウハウや専用ソフトなどを提供する個人サイトがあったのだが、どうも閉鎖されたもよう。このサイトなしでは、この裏ワザの実戦投入をおススメするのは難しい。なおサービスモードの操作はくれぐれも慎重に、Your own risk でお願いします。


最後に、もう一つの裏ワザを。

Leica M8 / Leica M8.2 の実用上の大きな欠点は、高感度のノイズが多いことである。どう甘く見ても ISO 640 が限界で、ISO 1250 に設定すると 「まったくツカイモノにならない」 という画質になる感があるのだ。

ISO 1250 で、なんとか使える画質が得られれば … と思っていたのだ。

しかし。

海外の、複数の WEB サイトの情報に断片的に書かれていることを総合すると、Leica M8 で ISO 1250 相当、あるいは ISO 1600 相当でもマトモな画像を撮影することができるらしい。また、そのために種々のノウハウがあるようだ。それを取りまとめると、おおよそ以下のようになる。

・ 必ず DNG で撮影する。
・ ISO は 320 に設定する。
・ 露出補正を -2 にして撮影する。

というものである。

ここまで読んで 「ちょっと待て !」 と思われる方も多いだろう。

確かに、それで理論上は ISO 1250 にセットしたのと同じ絞りとシャッタースピードで撮影できる。しかし、どう考えても、その撮影画像は 「どアンダー」 になってしまう。

どうするのか ?

その対策は 「Lightroom で現像するときに露出を +2 にする」 と書かれている。

なんともマユツバな話である。なのでしばらくは全く試す気にもならなかったのだが …

実際に試してみると驚いたことには、これは 「大アタリ」 の情報であった。

Lieca M8 / Leica M8.2 は、ISO 感度を 1250 にセットして撮影した場合は、ダメダメな画像にしかならない。しかし、ISO 320 & 露出補正 -2 で撮影した DNG 画像は、明るさを補正しながらうまく現像すれば十分にツカイモノになるのである。もちろん Lightroom でノイズリダクションをかける必要はあるが、Lightroom のお使いの方であれば、試写を繰り返して適切なノイズリダクション・パラメータの設定を詰めるのは難しいことではないだろう。お好みにより試行錯誤して決めてください。

この現象の理由は不明である。

ISO の設定が 640 か 1250 以上になるところで切り替わる Leica M8 / Leica M8.2 の中の増幅回路があって、その性能がダメなのだろうか ?

しかし確かなことは、Leica M8 / Leica M8.2 の搭載する KODAK 製の CCD による画像は、相当暗くなった部分でも諧調がしっかりと残るという美点があることである。

逆に、一見して高感度時を含め画像がキレイに見えているようで、限界特性的なところで描写が破たんしているデジタル写真機もある。無理なデータ処理をしているためだろう。そういう小細工をしていないからこそ、得られる画質もあるという気がする。

* * *

以上、Leica M8 / Leica M8.2 を購入してお楽しみいただく上でご参考になれば幸いです。

なお、Leica M8 / Leica M8.2 が初めての Leica だという場合、それが 「沼」 への入り口になるかもしれないということを最後に書いておきます。

そのくらい魅力のある写真機なのです。